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【連載】『女性視点で考える次世代テレワーク(分科会報告)』

 

第6回 テレワークの可能性と課題

女性の視点で考えるテレワーク分科会 事務局(2012年度)
凸版印刷株式会社 ITソリューション本部IT戦略部 和田 絵里子

女性視点で考える次世代テレワーク分科会(以下、「本分科会」)では、講師の方々より各社のテレワークの取組み、国の現状と課題などのお話を伺った後にミニワークショップを開き、その都度意見交換を行ってきた。今回のコラムでは、その成果として、参加者から引き出されたテレワークの課題と可能性を紹介する。

私たちは、まずテレワーク普及を阻害している原因を探ることより先に、テレワーク導入による新しい価値、可能性について議論することにした。導入によるメリットを知れば、阻害していた課題への解決策を見出すことが出来ると考えたからだ。そこでワークショップにより、各グループで話し合われた内容を、「個人・家庭の視点」「企業の視点」「社会の視点」の3つで下図の通り整理した(図1参照)。

図1 テレワークの可能性
テレワークの可能性


「個人・家庭の視点」における意見は、「育児・介護と仕事の両立」「仕事の生産性の向上」「働き方・キャリアの多様化」など、女性が仕事を継続する上で必要とされるものが多く、参加メンバーを女性に限定していることから自分事として考えられたことがわかる。

一方、「企業の視点」に分類されたものには、「コスト削減」「グローバル展開の推進」「仕事の生産性の向上」「BCP対策」といった多くの企業で必要とされるキーワードが上げられた。さらに「社会の視点」まで広げて考えると、「少子化の緩和」「男女共同参画の推進」「高齢者・障害者等の社会参加」という日本の抱える社会問題の解決となり得る言葉がみられる。視点を大きく持つことにより、テレワークによる可能性に広がりを見出すことが出来たが、これらの可能性を企業や社会へ理解を促すことがテレワーク普及には必要だと言えるだろう。

次に課題においても、同じ3つの視点で整理した(図2参照)。

図2 テレワークの課題
テレワークの課題


「個人・家庭の視点」においては、「意識改革(自由と責任)」「コミュニケーション能力の向上」が上げられたが、テレワークで考慮が必要な点の一つとして、働き過ぎるということがあるそうだ。仕事と家庭の切り分けがあいまいになることや、他の社員や上司が直接見ていない分、仕事の成果を多く出すことに意識が働くようだ。また、「住環境」によってテレワークが難しいという実態もある。この点に関しては参加企業であるミサワホーム様が、本分科会の期間中にテレワークが出来る家作りのコンセプトで新しい家を提案された。

二つ目の「企業の視点」での課題としては、「自社に適したテレワーク制度の検討」「時間管理・人事評価の見直し」といった意見があった。テレワークを行うには、ペーパーレスの業務であること、場所を選ばず働ける業務内容であること等の必要な要件も多くある。企業の業務内容や働く人によっては、適していない場合もある。

最後の「社会の視点」では、「ICTの発達」「関連商品・機器の開発」といった新サービスへの期待とともに、「関連制度の整備」が上げられた。企業が導入を進める際に、これまでの労務基準だけではカバーできない部分を社会制度として整備することが必要だと考えられる。

テレワークは様々な可能性と課題を内包した仕組みだが、実際に自分の仕事、家庭環境、その企業の業務に適したものか、議論だけではわからないことも多い。テレワークを試すことにより、自社に必要な仕組み、適した業務、課題がわかるはずだ。まずは、テレワークを働き方の一つとして試験的に始められる企業が増えることが、普及の第一歩ではないだろか。

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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