プラチナ社会研究会 新産業は、人が輝く暮らしから

【連載】『女性視点で考える次世代テレワーク(分科会報告)』

 

第7回 「プラチナワークスタイル」の提案

女性視点で考える次世代テレワーク分科会 リーダー
株式会社博報堂 PR戦略局統合プラニング2部 部長 宮川 尚子

今回のコラムでは、女性視点で考える次世代テレワーク分科会(以下、「本分科会」)の1年間の活動の成果として提案する「プラチナワークスタイル」を紹介する。

テレワークがもつ社会課題解決の可能性

数回の分科会での議論を経て抽出されたテレワークのメリットや課題については、前回コラム「テレワークの可能性と課題」にて紹介したが、この「メリット」についてもう一歩踏み込んで説明をしたい。

「テレワークが実現することによるメリット」は、「個人・家庭の視点」「企業の視点」「社会の視点」で分類しているが、「社会の視点」は、その他2つの視点を融合する形でおかれ、「少子化の緩和」「雇用の拡大・新たな仕事の創出」「地域・地方の活性化」「高齢者・障害者等の社会参加」といった、今の日本が直面する様々な課題に対する改善の可能性を示す要素が数多く上がった。

当初から「テレワーク」をIT関連技術的なテーマではなく、社会課題を解決する可能性のある「次世代テレワーク」として検討したいとの想いで発足した分科会であったが、ここにきてあらゆる社会課題に対する作用の可能性の多さに驚き、同時に「テレワークが実現する社会」の可能性をもっと追究したいとの意思を強くした。

そこで、この「社会課題の解決まで想定するようなテレワークを活用した働き方」とは何かについて検討を進めることにした。そして、「プラチナ社会研究会」のテーマである、「環境」「高齢化」「雇用」などの社会課題をホリスティックに解決する働き方を考えたいとの思いから、この働き方を「プラチナワークスタイル」と命名したのである。

「プラチナワークスタイル」は、最終的には社会課題を解決するとはいえ、出発点は「働き方」であることから個人と企業にとってのメリットを包含したものでなければならない。また、企業に雇用される以外の働き方も視野に入れておく必要がある。

テレワーク普及により実現される「プラチナワークスタイル」

これらのことを考えて、「プラチナワークスタイル」の定義を以下のように設定した。

「プラチナワークスタイル」定義

 

「プラチナワークスタイル」は、テレワークという技術と環境を駆使しながら、老若男女を問わず、それぞれの個人の能力を最大限に生かして働くことを前提とする。

本来、人には個々それぞれに固有の能力があり、それが発揮されることでよいアウトプットが生まれるはずである。しかしながら、実際には個々人がおかれた環境、たとえば「育児」「介護」「健康上の問題」「家族の問題」「住んでいる場所の問題」などにより、時間的・場所的制約が生じる。

しかし、これら時間的・場所的制約は「テレワーク」の活用により軽減が可能であり、結果として個々の能力を最大限に発揮した働き方が可能になる。

理想の働き方の実現に向けて

人は仕事だけで生活しているわけではない。仕事漬けはひたすらアウトプットを行っている状態である。仕事以外の家族との時間や趣味の時間、地域との交流などの仕事以外の「インプット」があることにより、仕事の場での「アウトプット」の質が保たれるともいえる。このような仕事以外の時間を持つためにも、状況に応じた時間や場所の制約の払拭はやはり必要となる。これにより、働く人は効率的でクリエイティブなアウトプットを生み出すことができる、これは企業にとっても労働時間を軽減しつつ質の向上が期待できる点でメリットが生まれる。

また、忘れてはいけないことは、そのために重要なのは、個人がその働き方を自分で考えて「選ぶ」ことができるという点である。硬直的なシステムであればあるほど、現実との間に齟齬や制約が生まれてしまうことから「選べる」ことの重要性についても担保しておきたい。その上で、テレワークでない働き方を選ぶこともまた個人の事情と能力発揮の上で有用であれば可能であるべきである。

さらに、このような働き方の普及は、育児や介護、地域の問題や少子化など様々な問題の解決の一助になるはずである。

本分科会では、この理想の働き方「プラチナワークスタイル」をこのように定義した。そして、引き続き「プラチナワークスタイル」実現のための方向性を探っていくことを次のテーマとして、取り組み始めたのである。


半年間にわたり、【連載】『女性視点で考える次世代テレワーク(分科会報告)』をご覧いただき、ありがとうございました。本連載は、今回でいったん終了させていただきます。本分科会の活動は、今年度、「女性のライフスタイルから考えるプラチナワークスタイル分科会」として継続しております。その成果がまとまりましたら、またコラムとしてご報告したいと思います。(分科会事務局)

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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