プラチナ社会研究会 新産業は、人が輝く暮らしから

温暖化問題で国際的なリーダーシップをとるために日本のすべきこと(その1)

 
環境 2013年4月16日

期待されるのは宮本武蔵ではなく坂本龍馬

科学技術部門 参与 村上清明

 民主党の2020年温暖化ガス25%削減(1990年比)の国際公約は、国際社会で、これまで日本が経験したことが無い高い評価を受けました。国民も好意的に受け止めています。産業界には賛否両論ありますが、どちらかといえば懸念する声が強いようです。経済的な損得勘定を考えれば、経済界が懸念するのは当然です。25%削減を達成するには、相当量の排出権を海外から購入する必要があり、その額は1兆円7000億円にも上るとのレポートも出されています。もちろん、民主党もそうしたことは、承知の上でしょうから、この国際公約は、経済的損得というよりも、日本が国際社会でリーダーシップを示したいという政治的な意思だと理解するのが妥当でしょう。

 ところで、これだけの経済的なリスクを考えても、日本が国際社会でリーダーシップをとることが必要なのでしょうか。今、国際社会で日本の存在感が急速に薄れています。リーマンショックから一年余り。今年に入り、新興国も先進国も株価が大幅に戻している中で、日本だけが取り残されています。来年には中国が名目GDPで日本を抜くと予測され、1968年以来40年間続いた世界第二の経済大国の座から降りることになるかもしれません。その後をインドが追いかけてきています。経済規模で日本の相対的な地位が低下するのは避けられません。しかし、経済力が衰えたら、国の存在感も無くなるというのでは、情けない話です。経済は国家の基盤ですが、その経済の原動力となるのは、未来への希望や自身や国家に対する誇りではないかと思います。鳩山首相が、地球環境問題では、日本が世界をリードするという意思を表したことは間違っていないと思います。負担が増えると言われながらも国民が支持している理由もここにあるのでしょう。

 しかし、日本がどうリーダーシップを発揮するかについては、もっと議論する必要があります。今回の国際公約では、日本は世界の先頭に立って、自らに最も厳しい目標を課しました。イチロー選手や浅田真央選手を思い起こさせます。日本人の美意識に適っていると思います。でも、国際政治の世界で通用するでしょうか。温暖化問題は、世界の主要国が土俵に乗らない限り解決はできません。日本のCO2の排出量は、世界の5%に過ぎません。25%を達成できたとしても地球で見れば、1%に過ぎないのです。25%削減が偉業であることは論を待ちませんが、孤高の国で終わったのではつまらないと思います。そうならないために、経済力の低下した日本が国際社会で存在感を保つために日本がすべきことは何でしょうか。世界の主要国を土俵に乗せ、実効性のあるプログラムを造ることにリーダーシップを発揮することだと思います。宮本武蔵ではなく、坂本龍馬になることです。

そのために、何をすればよいのでしょうか。

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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