プラチナ社会研究会 新産業は、人が輝く暮らしから

人間に直結した産業 (2009/12/21)

 

理事長 小宮山宏

 現在の喫急の課題は、雇用の創出でしょう。失業率の上昇は、大きな社会不安をもたらします。何とかして、早く、新しい雇用の形を出していかなければならないと思います。それでは、これからの日本の雇用の受け入れ産業はどこになるのでしょうか。これまでのリーディング産業であった自動車も、電気自動車が主流になっていくと雇用がだんだん減少していく可能性があります。エレクトロニクス産業の主体も海外に出ていってしまいました。建設業は、政権交代で不透明です。

 私は、次に雇用が出てくるのは教育産業だと思います。医療産業も増えていかなければと思います。つまりは、人間に直結した産業が、残っていくわけです。ただし、ここで重要なのは、従来の教師や医師として雇用の創出がなされるわけではないことです。

 前にも述べましたが、これまでの工業化社会と異なり、これからの知識社会では市場も技術も変化が早くなっています。このため、生涯学び続けることが必要となってきます。新政権では教育と職業訓練に手厚い予算を組んでいることもうなずけるというものです。

 人材の循環に関わる産業は今後ますますその重要性を増してくると考えられます。これを実現するためには、そもそも人材を循環させる仕組みを作らなければなりません。大学などの研究・教育機関とタッグを組んだ知的再教育産業や人材の流動化のノードとなるコーディネータを擁した新たな人材産業も必要になってきます。生涯にわたって教育を受け、その時代に必要とされる新たな仕事に就くことが出来きるようにならなければなりません。

 一方、先端的な医療を理解している医師は、そう多くありません。しかも、医師が苛酷な環境にさらされているのは報道されているとおりです。医師の労働環境を考えると、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)をあげることも重要ですが、医師のQOLをあげることも考えなくてはならないのではないでしょうか。

 そこでITの支援を受けながら医療に携わるということが考えられます。米国のように最先端のロボット手術によって入院せずに病気を治すことができるようになると、国民にかかる医療費が減ります。そして、医療を支援するネットワークやロボット技術産業にお金が移っていくのです。ここに新たな産業と雇用が創出される訳です。

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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