プラチナ社会研究会 新産業は、人が輝く暮らしから

混迷の時代に指針を示すシンクタンク(2010/01/05)

 

理事長 小宮山宏

 三菱総合研究所は、総合調査・コンサルティング企業として、シンクタンクであるといわれます。このシンクタンクという言葉の持つ意味は日本とそれ以外では大きく異なります。米国では、シンクタンクは「技術、社会、政治戦略や軍事戦略の中で、徹底的なリサーチと問題解決のための提言を行うために組織された団体(American Heritage Dictionary)」や「政策に関する研究を徹底的に行い、代替案になり得る政策提言を行う、非営利団体(第5の権力:アメリカのシンクタンク)」と定義されています。シンクタンクは、政策面で大きな影響を持ち、しばしば第5の権力と呼ばれます。実際、政権が変わるとシンクタンクの多くの人材が政権内部に入るという特徴があります。わが国では、どちらかというと調査機関というニュアンスが強いと思います。

 混迷の時代こそ、その指針を示すのが本来の意味のシンクタンクの役割であるといえます。米国では、なぜこれが可能なのでしょうか。強い大統領権限があるからでしょうか。一般に米国の大統領制は強いといわれていますが、実際には国民が議会と大統領を別々に選ぶので、両者は年中対立しています。日本の場合は、国民が政党を選び、その政党が議会と政府を押さえています。そのため、原理的には議院内閣制のほうが強いと考えることができます。

 確かに、今まででの日本の総理大臣は、一つの政策を実行しようとしてもなかなか難しかったのですが、これからの日本は、どうなるのでしょうか。政権交代した今、日本の科学技術政策は転換するのでしょうか。なかなか道筋は見えません。それは、政策の具体的な選択肢が提示されていないからかもしれません。そんな今こそ、「真のシンクタンク」が求められています。混迷の時代に政策の選択肢を示すというのが、シンクタンクの役割であるからです。

 例えばプラチナシティのように、最初の第1歩は人間の生活からスタートし、生活が動き始めて、それに対応して政府が動き、必要に応じて法律を改正したりしていくような関係をつくることができるかどうかが、鍵であると思います。そのようなトータルとしての実験場(プラチナシティ)が、最低でも47は必要だと考えています。そして、47のプラチナシティのデータを解析して知識を抽象化して再利用できるようなプラットフォームが必要なのです。そこで、ミッションを持って、定量的に分析し、指針を示すのが、シンクタンクの役割であると思います。

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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