プラチナ社会研究会 新産業は、人が輝く暮らしから

メッシュネットワークの可能性~米国からの報告

 
エネルギー 2010年12月22日

科学技術部門統括室
主任研究員 松田智生

協力 Rapid Access International, Inc. 2010年10月
http://www.rapidaccess.com/

メッシュネットワークとは?

会員制のカーシェリング会社、ジップカー(Zipcar)の創設者ロビン・チェイスは、未来の社会は、自動車、電力、そしてインターネットがすべて同じ経路でつながれると確信している。
米国では既存の配電網は、年々普及し続ける電気自動車を含む複合的な技術のスマートグリッドに置き換えられると確信しているのだ。
スマートグリッドは、多様な産業が自由に利用できる情報ネットワークになるに違いないとロビン・チェイスは思っている。
近年、オートメーカーズという、個々に通信可能で、道ですれ違う自動車とやり取りができるスマートカーを提供する会社も出てきた。
その新しい考え方は、「メッシュネットワーキング」と呼ばれ、インターネット回線を使い自動車同士が通信できるようになるネットワークだ。

メッシュネットワークとは、無線LANの通信機能を持った端末同士が相互に通信を行なう網の目(メッシュ)に形成された通信ネットワークであり、高度なルーティング技術が必要とされる。有線通信を設営するのが困難な場所、例えば発展途上国や台風・地震の災害地、あるいは戦場などが有望な市場だ。
そのカギを握るのは、モバイル環境でワイヤレスのネットワークを造れるかどうかである。

メッシュネットワーキングは、別のネットワークに接続されているかどうかではなく、ネットワークの中にあるそれぞれのノードが、独立したルーターとして動くタイプの接続方法であり、それはノードからノードへ、連続したり途切れたりという「飛ぶ」現象によって、目的に到達するまで続けられる。
この考え方はインターネットプロトコルを利用するスマートグリッドを進化させ、メッシュネットワークデバイスを電気技術の課題として提起している。もし自動車産業がインターネットを基盤としたプラットフォームを搭載すれば、国レベルでメッシュクラウドが作られ、別の自動車同士が接続されているかいないかに関わらず、独立したルーターとして作動することになる。
そして、インターネットプロトコルを使用し、メッシュネットワークデバイスを電気メーターに搭載しているスマートグリッドを進化させることになる。

もし自動車業界がインターネットベースのプラットフォームをインストールするようになれば、国レベルでのメッシュクラウドが整備され、自動車同士が相互に、また別のネットワークにつながっていく。
これはピーク時の負荷を軽くするのに一役買っていて、何が必要とされ、いつそれが必要なのかというインフラ整備を極力無駄を省きながら最大の効果で成し得るのだ。

メッシュネットワークへの期待

オバマ大統領はブロードバンド技術に72億ドル、スマートグリッドに45億ドル、輸送技術に50億ドルという景気刺激策の導入を決めた。
議会に提出されている輸送技術認可法案も提出されており、3000億ドルの連邦支出として大きな規模となっている。

IMFは、メッシュネットワークの市場規模の伸び率は20%であると予測している。
無線ネットワークの市場規模については無限の広がりをみせている。電気グリッドを含む現行のインフラを使えば、輸送技術とその他の利用されていないものとあわせても、無線通信関連の大きな市場である。

マルチサービスメッシュネットワークを提供するファイアータイドのCEOのラーソン氏によると、メッシュ技術はコンピューターの未来の牽引役になっている。国の安全面でのアプリケーションでいうと、防犯ビデオ、センサー、街頭、帰路運送、Wi-Fiアクセスである。

防犯で言えば、緊急時に警察がいつでもバスの中や外に取り付けられたカメラに写されたリアルタイムの映像にアクセスできるようになる。いくつかの政府機関は、現在メッシュネットワーク用のビデオと通信システムのインストールを始めたところだ。暫定的にではあるが、米国運輸省はすでに、場所や速さなど様々なデータを映すことができる郊外型Wi-Fiネットワークを利用しはじめている。各都市では現在、独自のメッシュネットワークを設置しており、空港やその他施設や教育機関など主な基幹施設を集中的にモニタリングするために、その仕組みを利用している。
また、地方自治体はWiFiサービスを企業や居住者へ販売まで行っている。
サンフランシスコがこの取組みの良い事例である。Merakiネットワークと呼ばれるこの映像フィルムは、無料のメッシュサービスを通じてサンフランシスコ市民にインターネット回線を提供しており、家ごとに接続する有線通信の利用者を減らすことになった。

メッシュネットワークによるビジネスチャンス

メッシュネットワークを通じてデータを送る新しい方法から大きな利益を得るビジネスがある。

  1. 海洋ネットワーク
  2. 船が海上にいるとき、インターネットにアクセスしビデオや映画をダウンロードし、様々なエンターテイメントコンテンツに直接アクセスすることができる。しかし、一旦船が出航すると、無線のインターネット接続は切れてしまう。もし船が受信アンテナを備えて、ネットワークのノードが機能すれば、海上にいるネット環境が整った他の船とメッシュネットワークのデバイスを使って即座にやり取りを行うことができる。
    モトローラは現在このコンセプトの実験段階であり、海洋オペレータの無線接続を、最も良い費用効率で実施している。ただし、このアプリケーションでの無線接続は、寒く湿った海上でも問題なく機能するようになっていなければならい。

  3. 国境の管理と都市犯罪の監視
  4. 国境管理や防犯の視点からメッシュネットワークは有望だ。
    バスと電車は、メッシュネットワークのノードを使って道路やイベント会場をリアルタイムで監視することができ、自動車は同じ方法で移動しながら撮影をすることができる。建物やフェンスといった他の構造物もメッシュネットワークではノードとして使うことが可能だ。

メッシュネットワークを作り、一連の生産ラインを設計し構築することは比較的簡単だ。
しかし、最適な条件でセキュリティを確保するということまでになると非常に難しくなるだろう。さらにできるだけ外部から手を加えることなく業務管理と自己修復がなされるかどうかなどの点で問題のないネットワークが構築されるかどうかが最大の課題である。

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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