プラチナ社会研究会 新産業は、人が輝く暮らしから

共同購入と変動価格が消費を変える!~米国における賢い消費者のトレンド~

 
産業 2011年2月25日

科学技術部門統括室
主任研究員 松田智生

協力 Rapid Access International, Inc. 2011年1月
http://www.rapidaccess.com/

共同購入の背景

最近の米国で興味深い傾向は、幅広い製品やサービスをとびきり安く手に入れるために、消費者の共同購入という手法が発展したことだ。
それはインターネットに接続している多数の買い物人口に支えられており、地域間で製品やサービスを発注するのに、時間単位もしくは分単位で素早く申込に対応できるようになっている。
フェイスブックやツィッターのようなソーシャル・ネットワークの利用は、購入者にとって割引商品やサービスを期間限定して注文するメリットを大幅に高めた。
携帯電話やiPadのようなモバイル端末は、選りすぐりの販売企業からの電子メールやツイッターを通じて一定の値引き情報を得ることができるので、消費者の購買意欲を高めることにも成功している。モバイル端末はウェブ検索機能を通じて商品を見つけ、電子メールやツイッターを通じて、ショップにいる間も、あるいは値引きしている店舗の近くを歩いているときも、刻々と変動している価格情報を受け取ることが可能だ。

アマゾンは、利用者が販売店で商品を購入する前に、製品のバーコード上でiPhoneをかざしたり、商品の写真を撮ったり、その製品の名前を言ったりすると、別の店で同じ商品を買う場合の値段と比較することのできる新しいアプリケーションを発表したばかりだ。
このようなトレンドは、マートフォンやその他の端末を通じての価格比較で得られる大幅な値引き権限を買い物客に与え始めている。これで、クーポンをわざわざ新聞から切り抜いて店舗に持って行かなくてもよくなり、今や消費者は、スマートフォンを使い、店舗内でより直接的に且つ同時に自動的に割引きを受けることができるようになっている。

2010年の米国では様々な新しいトレンドが紹介された。たとえば、共同購入、コストコのような大手小売業の会員向けセール、タイムセール、活況のオークション、エリア限定・地域限定の特別割引などだ。

グルーポンによる共同購入

米国で最も大きく、成功率の高い企業はグルーポンだ。http://www.groupon.com/
グルーポンでは、ほぼ毎日、特定地域の会員への割引価格や1日~2日程度の限定した売出し情報をメールで提供している。
商品の内訳はレストラン、サービス、服飾、写真店などであり、グルーポンの成功のポイントは購入者が多いほど、商品やサービスの価格を下げることができることである。
より安い価格展開によって、より多くの購入者がショップに足を運び、安い値段で買っているうちは、提供側と買う側がお互いにWin×Winの関係で良いことであり、グルーポンの収益として、その割引価格の設定のため、小売店から少額の手数料を得ている。
グルーポンの成功とともに、リビングソーシャルのような新しい競合他社も現れ始めた。我々はバージニア在住でグルーポンのメンバーに話を聞いた。
彼によると、サービスへの参加費用は無料で、グルーポン側にメールアドレスと郵便番号を知らせるだけで、住んでいる地域で対象となる割引価格のリストをメールで受け取る。通常は地域にあるレストラン、酒屋か写真店の割引が多いが、ときにはコンサートやドラマのキャンペーンイベント、映画のチケット、ヨガレッスン、美術館などのクーポンもある。
全てのケースで50%かそれ以上の割引価格であるので、グルーポン割引がない場合の実際の価格はいくらなのかまでが分かる。購入者は2ヶ月に1度のペースでグルーポンを使っているとのことだ。

会員セール

グループ割引のモデルは当分の間存続するだろう。コストコやサムズクラブのような先駆けの会社によって米国は発展してきたが、このトレンドは、いまや旅行代理店(ジェットセッター)や家具販売(ディレクトバイ)などと同様に、洗練されたファッションやデザイナーブティック(ギルトグループ)にも移行しつつある。
これらのオンラインコミュニティのメンバーは需要と供給に基づき、実際と比べてもほんのわずかな価格で、残り僅かのホテルの部屋や飛行機の座席又はDCブランドの服やバッグを注文する「フラッシュ割引」を使う。
フラッシュ割引は、数時間や数分であるからこそ、その商品やサービスの有用性に依るところの大きいのだろう。

地域割引

消費者がインターネットの接続環境にあって、それらにiPhoneや携帯電話の機能があるならば、GPS機能を使って携帯やモバイル端末で商品を選びだすことができる。
このサービスの良い例は「フォースクェア」であり、地域内で最も楽しめる場所についての情報をお互いに提供しあう「フレンズ」というオンラインコミュニティだ。
販売者はクーポンを発行し、特別価格を提示したり、よりよいビジネスチャンスを得るために会員に対して割引サービスを行う。
フェイスブックもまた「フェイスブック・ディール」と呼ばれる手法で地域割引・共同購入のサービスを展開している。

変動する価格

ダイナミックプライシングという変動価格は、消費者のための最も興味深い新サービスだ。
ダイナミックプライシングは、飛行機の空席を売るために航空会社によって取り入れられてきたものである。
プライスライン社はこの価格モデルを早期に打ち出した企業である。消費者は決められた終了時間までに商品もしくはサービスの入札をするというオークション形式をとる。
このタイプで最も良いウェブサイトは、世界の主要都市にある超高級ホテルを割引価格で利用するためのものだ。そのサイトは「Off and Away」。
まだ空きのある特別な日のプレミアムスイートをオークションで提供している。4千ドル以上の価値のあるこの高級スイートルームの値段は、2泊で300ドル~400ドル程度になる。その大幅な値引きは、部屋の安定供給と消費者のちょっとした関心で起こる旅行意欲がベースとなっている。この価格モデルは、現在ちょっとした贅沢品の価格帯としてはよく利用される。

今後の展望

Off and Awayのようなサイトのいくつかでは、消費者は始めに、サイトの価格から1ドル分を足して入札しなければならない。これは、サイト上で現在と今後のオークションに入札するのに使う「通貨」になる。
それらは、ウェブサイトの運営者があらかじめ資金として消費者から前金を得ることを可能にしている。ホテル予約への新たな入札ごとに0.25ドルずつ上がり、ときには終了時刻が30分追加されたりする。利用者は90%オフの値段まで到達するかもしれないが、まだ大きな料金を課せられることもあるので、サイトの小刻みな値動きに関しては議論の余地がある。落札に至らない消費者は、次のオークションや空室予約のためにポイントやお金を使うことができる。
そのようなサイトには他にもコストがかかる可能性があるので、大きな買い物をする際には、サイトをよく調べることが重要だ。
Off and Awayサイト

共同購入の今後

共同購入と変動価格設定の未来は、新しく革新的なサイトが、広くバラエティに富んだ商品とサービスの値引きを実現させるという意味で有望だ。
簡単なところでは、マイクロソフトの検索サイトBINGのサービスが、旅行ツアーからDCブランドの商品までを消費者が比較しながら注文する機会を与えているのだが、カスタム設計された新しいサイトもまた、顧客に素晴らしい価値を提供し続けるだろう。

三菱総研の視点

家計の貯蓄率が、日本2%台、米国6%台と、過去と比べて完全に逆転するに至ったように、リーマンショック後の米国における消費・貯蓄行動は手堅い方向に向かっている。
最近、米国の個人消費は徐々に回復傾向に向かっているが、以前のようなオールラウンドに積極的に消費するのではなく、節約出来る部分は節約し、少しリッチな気分を味わいたい時には積極的に行動するようだ。
本稿で紹介したグルーポンや価格変動サイトを使った「賢い消費」の流れのなかで、日本でもこうした賢い消費者が増えてくるのは間違いない。

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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