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カリフォルニアが太陽光発電をリードする! ~米国の家庭用太陽光発電システムの動向~

 
エネルギーCO2削減 2011年7月6日

プラチナ社会研究センター
主任研究員 松田智生

協力 Rapid Access International, Inc. 2011年6月
http://www.rapidaccess.com/

世界規模で高騰するエネルギー問題や環境に配慮した技術への消費者意識の高まりとともに、米国では家の敷地内に太陽光パネルを設置し、より効率的に冷暖房が使用できるよう改良していく発電方法が普及し始めている。
カリフォルニア州やその他の自治体は、消費者が家庭での使用する量とらわれず、電力を売って収入にすること自体に優位性を持たせようと取り組んでいる。
その結果、化石燃料を減らすのと同時に、家庭では必要な電力を得ながら節約もできる「一挙両得」の成果を生むようになった。電力会社は、一般家庭で作られた電力の余剰分から、実際のエネルギーの供給を受けることで化石燃料を削減できることになる。

背景

米国では、この分野でカリフォルニア州がその他の地域をリードしている。
この実現の裏には、1990年代エンロンが送電網を州全体にわたって管轄していた電力自由化の時代に、大規模停電を起こしたアメリカ史上最大の電力危機があった。
この危機では多くの住宅への電力供給が絶たれ、電力不足と停電を繰り返したので、カリフォルニアはその事件を深く心に刻んだので、独自に電力を供給できる仕組みを最大限高めてきた理由がそこにある。
California Solar Initiative (CSI)の支援を受けながら、個別の住宅をもとにした太陽光発電市場を成長させている。
シリコンバレーでは、発電と送電の新しいシステムをつくり、住宅ごとに蓄電できる技術の普及に努めてきた。サンノゼをはじめ、カリフォルニアにある多くの都市では、米政府の包括的な奨励金制度を活用している。
したがって、カリフォルニアにある個人の住宅で作られた電気料金は、米連邦政府と州政府両方が買い取る「払戻金」となり、電力供給会社は、各家庭に太陽光発電装置一式を取り扱う機関としての役割を担っている。

カリフォルニアの太陽光発電システムの費用

カリフォルニアやその他多くの地域では、エネルギー消費について数多くの有利な制度がある。家族の人数によって、太陽光発電システムの導入コストは数千ドルから3万ドル、またはそれを超えてしまう場合もある。しかし払戻金制度が州や連邦政府で取り入れられているので、どの都市に住むかにもよるが40%~60%もの費用を減らすことができる。
通常、太陽光発電システムの設置費用は毎月の請求額が低くなっていくことで、数年で完全に元が取れる。家庭用として売り出すための最大の利点は、照明や冷房など機器を利用し熱を発生させるのと同じように費用のかかる天然ガスを使うくらいなら、二酸化炭素排出量を減らすことのできる太陽光発電を用いたほうがよいということだ。
また、連邦政府は、太陽光発電システムの導入した場合に税の還付を行うので、毎年必要な税の納付書の作成費用を大幅に削減することも可能だ。
住宅用太陽光パネルの利用者は、連邦政府を通じて30%の税額控除を受けた後、カリフォルニア州がその控除分に還付金を上乗せする形で支払われる。たとえば、カリフォルニアの個人住宅が太陽光発電ヒーターを設置しようとするなら、機器代と設置費用のために、30%が現金で還付される。
カリフォルニアでは、家庭用太陽光発電機器の設置に関してマンションなどの家主に優先的に適用される制度が多い。

以下、具体的な支援制度である。

NSHP:New Solar Homes Partnership.
NSHPは、カリフォルニア州エネルギー委員会が推進する州全体の包括的な太陽光発電支援のプログラムである。 NSHPは、住宅所有者の電気料金を節約し、環境を守る新しいエネルギー効率の良い太陽光発電住宅の建設を奨励し、住宅建設への財政的インセンティブを提供している。
PG&E社(パシフィック・ガス&エレクトリック)は、全米で太陽光発電の利用者が同社のグリッドに約30%接続することに成功している。PG&Eが顧客を獲得していくと、NSHPは新しい住宅を建てようとする施工主に対しても金銭的優遇措置をとっている。

SASH:Single-family Affordable Solar Housing.
この制度は、太陽光発電を設置した低所得者向けの住宅に対して資金を提供するものである。この制度の補助金はとても高いため、ソーラー発電機器の購入者にとっては実質無料で導入できることになる。この制度を維持するために、住宅購入者は低所得者に限られている。

MASH:Multifamily Affordable Solar Housing.
SASHと似たMASH制度は、低所得層の集合住宅に適用されるものである。この制度は、すでに約4,000ものカリフォルニアの店舗と不動産オーナーに適用されている。

太陽光発電のための固定資産税の免除
カリフォルニアでは、2016年の12月30日までに設置した場合に、太陽光発電とその関連機器の設置で建物の固定資産税が100%免除になる。有資格者は太陽熱温水ヒーター、太陽熱温度調節システム、太陽光発電機などを購入した場合である。

EEM:Energy Efficient Mortgage
HUD:Housing and Urban Developmentという連邦住宅都市開発機関によって行われる制度を通じて、家庭用太陽光発電システムの設置費用は、頭金を多く支払うことなくローンを組むことができる。

FIRST:Financing Initiative for Renewable and Solar Technology
オークランドの都市では、バークレーで最初に制度が始まったのだが、ソーラー発電機器を設置するときに、固定資産税の増額分を都市基金からの融資で支払うことが可能である。

電力会社の役割

カリフォルニアでは、電力会社が「エネルギー監査」と呼ばれるサービスを提供しており、調査員が依頼者である住宅を訪れ、効率的にエネルギーを確保する方法を提案している。
調査員は集合住宅での利用者が、屋根にパネルを取り付ける形の新しい冷暖房システムを設置するのであれば、ドアや窓を断熱効果のあるものに取替えたり、冷却穴に送水管を通したりというような提案を行う。

太陽光を基盤としたシステムは、パネルだけではなく、太陽光技術の利点をすべて網羅できる。家庭用エネルギー効率への簡単な解決策は、その日のうちで、ソーラーパネルから太陽熱を最大に得られる時間帯に風呂に温水を供給するか、もしくは冷風や温風を内側からも外側からもしっかり閉じ込めることのできる窓用の熱遮断器具も含まれる。

電力会社は太陽光発電を設置した住宅の熱生産量を基準として、利用者に料金を払い戻している。たとえば、Pacific Gasや Electric or Southern California Edisonなどのカリフォルニアの電力企業と公共事業者は、月ごとの利用請求を、発電量1ワットあたり0.65ドルを払い戻す予定である。
Alameda Municipal Powerのようないくつかの公共の電力事業者は、その管轄内での需要の伸びをベースに1ワットあたり約2.25ドルとしている。新しいソーラーシステムの優位性は、いつも2つの方法で支払われるという点であり、見積もられた産出量と時間を元に金額が設定されることと、システムの実際の産出能力をもとに5年以上支払われることである。

安価になるソーラーパネルの費用

ソーラーパネルへの高い需要と各国へのアウトソーシングを通じてコストを下げている中国によれば、ソーラーパネル技術とその周辺機器の購入費用は急速に下がっている。市場でのPVシステムなどの太陽光人気の高まりは、安さと効率性を促している。2010年にソーラーパネルの費用は、1ワットあたり3.5~4ドルから1.75ドルと、40%も下がった。
政府や州の補助金制度は家庭用太陽光発電システム設置費用をまだまだ低く抑えることができる。

今後の見通し

カリフォルニア州は、戸建て用及び集合住宅用の太陽光発電システムの導入支援制度で大きな成功を収めている。エネルギー生産は太陽光などの資源を使い、環境にやさしい技術であることが基本になりつつあり、石油や石炭などの化石燃料への依存が減ってきている。集合住宅用太陽光発電の利用者は、家計上では大きな節約になり、さらに、その節約を増やすための機器をつければ、より多くの電力を売る能力を得られる。
エネルギー利用は、各家庭からの小さな貢献を通じて太陽光発電を増やすことができ、原子力や火力発電を減らすことができる。
唯一の欠点はソーラー機器の設置の初期費用である。このコストは毎年大幅に下がっていくものではあるのだが、もし各家庭にソーラー機器が設置された場合、集合住宅の初期設置費用は徐々にゼロになっていくのである。

三菱総研の視点

新たな産業創造は、技術の革新やサービスの高度化だけでは成り立たない。
今回の米国事例のような政府・企業が連携した補助金・融資・減税・買取り制度といった組み合わせ型の「制度設計」の視点が重要である。
ここで紹介されたNSHP、SASH、MASH、EEM、FIRSTといった州政府や連邦政府の各種支援制度は、日本への示唆となり得る。

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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