プラチナ社会研究会 新産業は、人が輝く暮らしから

目指せ、環境資源大国!

 

環境・エネルギー研究本部 主席研究員 中條寛

いよいよ各党のマニュフェストが出揃った。環境・エネルギー分野について見てみると、例えば、地球温暖化防止に向けた2050年の長期目標などは掲げられているものの、総体として日本が環境面でどのような国を目指していくのか(ヴィジョン)、そのためにどのような手立てを講じていくのか(ロードマップ)が見えにくい形となっている。政権選択のための公約であるため、長期的な視点での具体目標が掲げにくい点は有るが、指向する方向性を示す意味でも、議論を深めてほしいポイントである。

この意味でここでは、“日本は世界一の環境資源大国を目指す”ことの明確化を、新政権に要望したい。

環境資源大国とは、一つは、“課題先進国日本”ならではのリソースとして、技術、人材、制度などを蓄積・充実させるとともに、世界に向けて発信し、海外市場を開拓していくことを意味する。これらを21世紀の我が国の重要な世界貢献と位置づけることが必要である。

さらにこのようなソフト資源に加え、物理的な資源そのもの、例えば、水や緑などの環境資源、今や先端製品に欠かせない材料となっているレアメタルなどの鉱物資源を、戦略的に充実、あるいは蓄積していくことも重要なポイントである。

コバルト、リチウム、レアアースなどのレアメタルは、電池や磁石の材料としてハイブリッド・電気自動車やIT機器に不可欠であるが、現在はその原料供給のほぼすべてを海外に依存している。温暖化対策の重要な柱として掲げられている次世代自動車の普及も、レアメタルの安定供給が確保されなければ『画に描いた餅』、我が国製造業にとっては死活問題となる。

一方で、これらの資源は製品に含有された形で既に社会の中に蓄積されている。弊社の試算によれば、現段階で、コバルトで約6年分、ネオジムで約5年分の消費に当たる量が蓄積されている。先端製品の普及に伴って、これらの量は今後大きく増加していく見通しであり、効率的に回収・備蓄・リサイクルするシステムを構築できれば、大きな供給源となりうるのである。

現時点では温暖化・省エネルギー政策のみに目を奪われがちであるが、我が国製造業の生き残り・成長戦略を含め、環境・資源・エネルギー問題全体を俯瞰したバランスのとれた環境・エネルギー戦略が望まれる。

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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