超高齢社会で活力ある経済をどう実現するのか。その一つの条件は、モビリティである。自分の好きなところへ自由に動けることは人間の基本的な欲求であるだけでなく、モビリティと消費活動は密接な関係があるからだ。しかし、現在の交通システムでは、高齢者が自由に、安全に活動することは難しい。高齢ドライバーの安全確保のため、センサー、モニター、通信、自動運転等、様々な技術開発が進められている。しかし、重量1t以上の現行の車を前提とした改良では限界がある。また、安全は車両だけの問題ではなく、自動車単体での対策では、効果も費用も限定される。そこで、「80歳でも日常の生活圏内を、安全に自由に行動できる交通を、安価に提供する」ことをコンセプトとし、車両だけでなく、都市と道路、建築物、交通規制、利用形態と料金システムまで含めた全体システムで最適化を図る、さらに、国内だけでなく、将来、世界に輸出することを念頭に置き、世界標準となりうるシステムを提案する。
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