三菱総合研究所(プラチナ社会研究会)
日程:平成25年3月6日
ヒアリング先:主任研究員 松田 智生氏
(平成25年4月より主席研究員)
高齢者の就労、雇用の現状
大手企業の場合、定年以降は、社内よりむしろ社外のほうが雇用のニーズはある。
知見のあるシニアをよびたい地方やベンチャーは多い。企業が雇用を維持しつつ、社員を外部の様々なプロジェクトへ派遣すると、社員のセカンドキャリアの道が開き、新たな職場へ巣立つ可能性がでてくる。
高齢者を雇用するメリット・デメリット
メリットは高齢者の経験、知見、人脈(販路開拓など)が活用できることである。
例えば、地方の名産品を売り出したい自治体が経験と人脈のある営業マンを必要としたり、規模が大きくなった中小企業などには人事・労務、財務などの経験者が求められている。
デメリットはミドルや若年層の雇用や仕事へのしわよせ、過去の自慢や武勇伝を語ることによる人間関係の悪化が指摘される。また、高齢者の雇用を延長することによる企業の財政的負担も少なくない。
生涯現役社会を目指すにあたり高齢者就労・雇用の在り方
- 高齢者のためだけの社会ではなく、あらゆる世代が満足する社会を目指す
スウェーデンでは退職者の派遣事業があり、利用者は、利用料金の50%が税控除可能である。ただし既存のサービスの市場を奪わないように、既存企業のサービス時間帯をはずすなどの工夫がなされている。
- 脱、たそがれ研修
40代後半からセカンドキャリア研修を始める企業が多いが、元気のでない「たそがれ研修」と呼ばれることもある。そこから次のキャリアを考えるのでは遅過ぎて、むしろ20代、30代から60歳以降の働き方を意識するような研修を企業側で検討すべきである。
- 感謝される仕事に従事する
現役時代の部下から命令されて仕事をする状況では士気があがらない。経営が厳しい日本の製造業の技術者が韓国企業や中国企業へ転職するのは、仕事を通じて自分の存在意義を感じ、感謝されるからである。高齢者をプロとして接することが大切である。
- 企業とのマッチングを成功させる
高齢者側が過去の自慢話をしない、大企業の論理を押し付けないことが最も大事である。セカンドキャリアに入るとき、マインドをリセットするブートキャンプ的な研修が必要である。
昔の輝かしいキャリアを自慢しないなど、過去を語らず今を語るような新しい職場ではやってはいけないことと、やるべきことを知る。