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超高齢社会のサステイナビリティとは (2009/09/30)

 

理事長 小宮山宏

環境問題は世界中の国が重要課題として認識していますが、超高齢化については意識が低いと思います。すでに超高齢社会に入った日本でも、年金や医療・介護保険という社会保障問題が主な関心事です。しかし、高齢化の問題は、地球環境問題以上に解決を急ぐ問題です。日本では、2027年に団塊世代が80歳を迎え要介護の割合が急速に高まる可能性があります。そして、先進国だけでなく新興国でも2020年以降次々と高齢社会を迎えます。2050年になれば、超高齢化は世界の問題となります。

環境問題には、温室効果ガスの排出量についてマイルストーンが設定されています。現在は検討中ではありますが、先進国は2020年の中間目標では、25%から40%削減が、2050年までには先進国全体で80%以上の削減を行うとの目標があります。解決の方向性は見えてきたといえるでしょう。

それに対して、超高齢社会は、未だ解決の方向性がはっきりと見えてきません。CO2と違って高齢者を減らすわけではありませんし、介護体制を整えればよいというわけでもないと思います。私は超高齢社会のサステイナビリティとは、高齢者の能力に合わせた社会を創ること、その結果として元気な高齢者を増やすことだと思うのです。

高齢社会が問題となるのは、社会が高齢を嫌うからです。いろいろなところで高齢者が働ける社会を創っていけばよいと思うのです。超高齢社会を克服するためには、高齢者の健康を増進し社会参加を促進する必要があるのです。

人間の記憶する能力は、年齢とともに衰えていくけれども、理解する力は70歳まで上がるというデータがあります。知恵というものは、そんなに老化しないのです。

高齢者が元気に活躍できる社会における仕事とは、どんな仕事でしょうか。基本的には、教育だと思います。具体的には、学校の先生や技術を伝承する仕事が良いでしょう。現在の社会は、知識の伝承がうまくいっていないと思います。これこそ高齢者に相応しい仕事だと思います。

日本のインフラの多くは戦後に整備されました。それは工業化社会に最適化されたものです。しかし、POST工業化社会の超高齢社会に適したものとは言えません。社会が高齢者を受け容れて80歳まで活躍できるインフラに作り変えればよいのです。しかし、高経済成長期を終えている超高齢社会ではインフラ投資は簡単ではありません。多くの要素技術を最適に組み合わせて快適な空間を最小のコストで実現すること、スマートな投資を行う必要があります。

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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