プラチナ社会研究会 新産業は、人が輝く暮らしから

「サステナブル・プラチナ・コミュニティ政策研究会」成果報告会 開催報告

 

「サステナブル・プラチナ・コミュニティ政策研究会」成果報告会 開催報告

三菱総合研究所(MRI)と一般社団法人日米不動産協力機構(JARECO)は、「サステナブル・プラチナ・コミュニティ政策研究会(SPC政策研究会)」を2014年7月に設置から、日本版CCRCの実現のために取り組むべき必要な政策提言の発表とあわせて1月28日に公開成果報告会を開催した。当日は産官学から約200名の参加者があり、会場は日本版CCRCへの期待と活気に包まれた。

SPC成果報告会1


最初にMRI松田智生主席研究員から、「日本版CCRC:サステナブル・プラチナ・コミュニティの政策提言」が報告された。

SPC成果報告会2

  • CCRCは単なる高齢者住宅ではなく、雇用、地域活性化、健康福祉、生涯学習、社会参加策の組合せ型事業であり、それゆえ日本版CCRC実現に重要なのは「組合せ型政策」であることから、省庁横断型の政策のために本研究会を設置した。
  • 日本版CCRCは、従来の高齢者住宅が居住機能、介護機能が中心であるのに加えて、健康支援機能、コミュニティ機能、社会参加機能、多世代交流機能を基本機能とした。居住者が「担い手」となることが、本人にもコミュニティにも地域にもメリットを生む。
  • 住み替えに関しては、近隣転居型、コンパクトシティ型、地方移住型、継続居住型など多様なモデルを示し、あらゆる立地で成立する要件を示した。
  • 今回の提言書では、「健康・コミュニティ機能を促進する政策」、「日本版CCRCを支える政策」、「日本版CCRCを加速させる政策」の3分野に詳細な25の政策を示した。今後は、仮説検証型モデル事業を全国で実施し、産官学が一堂に会すラウンドテーブルで、具体的な制度設計に作り込んでいきたい。

続いて、株式会社リクルート住まいカンパニーSUUMO編集長池本洋一様から「元気シニアの住み替ニーズ注目の動向」が報告された。

SPC成果報告会3

今の日本では「終の住処」を自己決定していない割合がとても高く、もっとシニアの住み替えが各ステージにあわせてできるようになれば、空き家問題を含む様々な住宅に関連する問題解決につながる。

  • 将来健康なうちに高齢者用の住まいに、住み替えたいという人は少数であり、心理的ハードルはまだまだ高い。
  • シニアのニーズは「食事を家族や仲間と一緒に食べたい」以外は多種多様であり個人差がある。50代、60代の分譲マンション購入者は増えている。そのマンションに求める要素として安心安全もあるが、人が呼べる・人との交流が図れる・人との繋がりが持てるといった心理が働いているのではないか。
  • 日本版CCRC実現に向けて、既存の大規模マンションのコミュニティ形成のノウハウ、多世代交流の仕組みづくり、そしてその集客力などには多くのヒントがある。

続いて、一般社団法人コミュニティネットワーク協会理事長近山惠子様から、「コミュニティの拠点づくり(ゆいま~るシリーズにおける取組)」が報告された。

SPC成果報告会4

  • コミュニティネットワーク協会のコンセプトは、「福祉のまちづくりがまちを活性化し、再生させる」と明確であるがゆえ、全国から賛同する高齢者を集めることができる。
  • 入居者はサービス自体を求めてくるわけではなく、豊かな暮らしを求めてやってくる、また「安さ」ということより「質」を求めてやってくる。
  • シニアの自立度があがれば介護保険ベースの事業者は赤字になる。まずこれ自体が問題である。自立度が上がることが事業者の収益に貢献させるように、健康支援、医療、介護を組み合わせて、事業者のメリットと自治体のメリットを両立させることが大切。
  • 施設運営は「参加型」であり、入居前の段階から自己決定してもらう。運営も「話合い」で決めていく。同時に参画する各人が資産形成、家族・友人関係なども含んだ自身の生活を設計していくことが重要である。
  • 高齢者としてではなく「人」として考えていくことが必要で、またそれ以上に生きる希望をコミュニティ内で形成させていくことが重要である。

続いて、社会福祉法人佛子園理事長雄谷良成様から、「福祉で描くコミュニティデザイン」が報告された。

SPC成果報告会5

  • 敷地内は高齢者・障害者・世代・国境を超えて「多世代」といわゆる「ごちゃまぜ感」を併せて配置されているのが最大の特徴である。認知症の高齢者が障害者のケアをはじめてから深夜徘徊が止んだという好事例もある。
  • このように高齢者はサービスを受けるだけではなくて、積極的に社会に貢献出来る存在であり、コミュニティの担い手だということを認識していくことが重要である。それはシェア金沢の理念である「私がつくる街」である。
  • また佛子園が進めた廃寺の復興プロジェクトにおいても、多世代の交流、誰かの役に立つことができる存在、地域全体としての活性化に理念が継承されている。
  • 自分がかつて青年海外協力隊にいた経験を活かし、プロジェクト・サイクル・マネジメントの手法を用いて、組織的なプロジェクト管理や人材育成にも努めている。
  • 今後、日本版CCRC的なコミュニティが広がることをシェア金沢で先駆的な取組みをしている立場からも期待したい。

パネルディスカッションでは、SPC政策研究会の座長である中川雅之氏からパネリストへ質問が示されパネリスト4名から多くの意見が示された。

  • 高齢者のQOLを考える上で、前提としてまず高齢者からニーズを汲み上げて、適切な仕組みづくりを行い、コンセプトを示し、サポートに徹することができれば、自己決定した高齢者は優秀な消費者、経験者としても機能していく。これを前提としてまちづくりをしていくのが重要である(近山惠子氏)。
  • 高齢者のニーズを考えた場合に、高齢者のニーズは通常の人と変わらない。前提として安心安全があり、出来れば施しを受けず、孤独死は避けたいという欲求がある。新しい魅力あるコンセプトを打ち立てていくことも必要であり、また魅力的な物件があることも必須である。しかし高齢者だからといって特殊なことは必要ない(池本洋一氏)
  • 日本版CCRCは組合わせ型の政策となるので、中央省庁または各自治体における縦割りの排除が必要となる。これらを具体的に進めていくために仮説検証型モデル事業の推進、ラウンドテーブルの設置により加速させていく。(松田智生主席研究員)

SPC成果報告会8 SPC成果報告会7

     写真左:パネリストの方々、右:研究会座長(JARECO代表理事)中川雅之氏

配布資料

本件に関するお問い合わせ
三菱総合研究所 プラチナ社会研究会
サステナブル・プラチナ・コミュニティ政策研究会事務局
E-mail: spc@mri.co.jp TEL: 03-6705-6009
担当: 松田、森、北原

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

アンケート

このページのトップへ

三菱総合研究所関連リンク: MRI大学関連事業

Text Resize

-A A +A

小宮山宏 講演録