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航空機の活用でインターネットを低廉に

 

「航空機の活用でインターネットを低廉に」

協力 Rapid Access International, Inc. 2017年12月

ブロードバンドインターネットを農村地域や辺境地に安価に提供するという課題には複数の企業が取り組んでいる。その解決策として、衛星、ドローン、気球(GoogleのProject Loon)を活用したものがある。その中でAirborne Wireless Network (AWN)社では、飛行中の商用航空機数千機を活用してインターネットキャリアのメッシュネットワークを構築しようとしている。

Airborne Wireless Network社の独特なメッシュネットワーク

AWN社のメッシュネットワークは、航空機に中継機器を装着し、ブロードバンド無線信号を相互に中継するというものだ。「メッシュ」というのは、一定範囲内にある複数の機器から無線信号が通信され、冗長化されていることを表している。同社のウェブサイトでは、この特徴を複数路線の高速道路に例えて、遅延や通行止めの原因となる障害を回避して別の経路を提供するというものだと説明している。これは一般的な携帯電話基地局や衛星システムのような従来型のシングルリンクシステムと対比される。航空機1機がある周辺範囲にはほぼ確実に、ほかの航空機、船舶、地上局も存在するため、単一障害点が発生することがない。1

「メッシュ化された」という特徴と、ノード(例えば、航空機)が遍在するということが組み合わさったという点はこのソリューションの最大の利点かもしれない。メッシュ型として冗長化されることにより、競合的ソリューションと比べ、サービスをより安定化、高速化できる可能性がある。

AWN社は、2025年までに20億個を越える宇宙ゴミが地球を周回し、有人宇宙飛行の未来が危機に陥る可能性があるという推測を引き合いに出している。2当然、それほど多くの物体が周回していれば、機器が損傷を受け、別の機器が不全化するリスクが大いにある。

宇宙ゴミに関係するリスクに加え、衛星は一度打ち上げすれば更新や修理ができない。航空機に搭載されたAWN社のモジュールの修理・更新は比較的容易で効率的に行うことができるため、ソリューションを常に最新に維持できる。

気球やドローンについては、このような利点の一部は共通しているといえる。しかし、これらの機器は専用システムとされる傾向が強い。商用航空機は既に普及しており、通信範囲が確保できるという点で、それを活用することは非常に独特である。

全面的な通信可能範囲の確保に向けての課題

ただ、通信可能範囲の確保という点では疑問も生じ得る。通信状態が非常に良好なエリアとそうでないエリアがでてくるのは当然だろう。AWN社は特に触れてはいないが、同社は商用航空機の運行が行き届いていない地域に関しては航空機の活用以外の方法を探さなくてはならないかもしれない。

AWN社の現在の進捗状況

AWN社は、主な顧客基盤対象はデータ通信サービスプロバイダーであると言っている。同社は2016年8月、カンザスシティを本拠とするJet Midwest Group(航空機関連サービスを行う企業)と覚書を締結し、「ネットワーク概念実証」及び認証試験実施のためにボーイング757-223型機最大3機が提供されることとなった。さらに、同年10月には、連邦航空局(Federal Aviation Authority: FAA)に当該システムの申請を行った。しかし、コスト見込みや量産予定について詳細はまだ示されていない。3

AWN社は2017年5月31日、ニューメキシコ州ロズウェル市における概念実証飛行実験の完了を発表した。4 また、AWN社は2018年1月2日、同社のネットワークの開発・先進化を支援することについてiNTELLICOM Technologies Inc. との契約締結を発表した。5これにより両者は、2017年2月に発足した連携に続き、正式に長期的な関係が構築されることとなる。

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株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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