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インターネットの第三の波:モノのインターネット(Internet of Things: IoT)

 

協力 Rapid Access International, Inc. 2015年2月

「モノのインターネット」(Internet of Things : IoT)という言葉がメディアで頻繁に取り上げられている。しかし、新しいトレンドに付される名称にはありがちだが、この用語が正確に理解されておらず混乱を招いていることも多い。IoTとは、おおまかに言うと、広範囲にわたるデバイスがインターネットを介してユーザと、あるいはデバイス間で相互にデータを知覚・共有ができる多様な方法のことをいう。

IoTの動向に関して、その意味や潜在性の要点を抽出した手引きをGoldman Sachs社が発行した。

背景・定義

インターネットの発展は、2段階を経て形成されてきた。第一段階の特徴は、固定線での接続、従来型のデスクトップやラップトップコンピュータ、Microsoft WindowsやGoogleなどの共通ソフトウェアの利用である。第二段階は、モバイルインターネットの能力の拡大で始まった。3G、さらには4Gのスマートフォンやタブレットが実現したのである。これら機器にはApple社のiOSやGoogle社のAndroid ソフトウェア標準が実装されている。

IoTは、インターネットの第三の波としてとらえられている。

      IoTとは何か。「モノのインターネット」は、消費者向け日用品や、産業機器等をネットワークに接続し、情報収集や、これらデバイスの管理を実現させるものである。これには効率性向上、新しいサービスの実現、あるいはその他の健康、安全、環境上の利益を実現させるソフトウェアを利用する。この用語は、1999年、当時マサチューセッツ工科大学(MIT)に所属していたイギリスの科学技術者Kevin Ashton氏が初めて提唱した。1

この動向から示唆されるのは、インターネットに接続されるデバイスが過去数年で数十億にまで拡大してきたが、そのような世界が2020年までに10倍に拡大するということだ。

IoT:マシン対マシン(M2M)コミュニケーション

インターネット発展の第二の波までに実現された主要インターフェースは、人間であるユーザとコンピューティングデバイスとの間をつなぐものであった。IoTは、コンピューティングデバイスの定義を拡大し、さらにこのようなデバイス同士のコミュニケーションという特徴を持つ。

マシン対マシン(M2M)コミュニケーションを行うには、知覚デバイスとソフトウェアとが互換性を持ち、データを収集し、遠隔サーバーあるいは情報共有、分析を行うその他の機器に送信する、ということが必要になる。市中の街灯が電力需要に関する情報を他の都市インフラと共有できる、という状況を想像されたい。常に、需要、能力、電力網からの供給コストを考慮できるのだ。

消費者・企業レベルでの初期採用対象となる分野

確かにIoTはまだ黎明期にある。しかし、消費者、企業で初期採用の対象となる主要分野がある。

全米家電協会(CEA)の推計によると、米国の新規住宅のおよそ1割には、既に一定程度のホームオートメーションが導入されている。つまり、例えば、台所家電、冷熱システム、個人用デバイスが相互に情報を共有し、クラウドに蓄積された過去のデータを基に学習するのである。このような従来型のハードウェアに、データ分析のできるソフトウェアが組み込まれており、コスト削減、デバイス使用や稼働電力供給における効率化を図ることができる。

一般家庭は、IoTの導入には格好の場所だ。その大きな理由は、家庭では高速インターネットが普及していることにある。モバイルネットワークも普及してはいるが、コストはいくらか高くなる。IoTに対するニーズ、需要拡大が認識されていることから、AT&T社等の企業は既に自動車メーカーと共同で、月額利用料10ドルでの車内モバイルホットスポット発足に向けて取り組んでいる。

企業レベルでは、Verizon社が、無線接続されたデータセンター全般にわたって数百のセンサーやコントロールポイントを導入し、24か所のデータセンターで年間5,500万キロワット以上を節約している。2

機会

  • 2020年までにインターネットに接続される機器の数は10倍に増加
  • 新たな製品カテゴリー
  • 知覚デバイス
  • マイクロプロセッサー・チップ
  • ネットワーク拡大
  • データ分析ソフトウェア
  • プラットフォーム標準及びソフトウェア
  • コンソーシアムによる標準策定
  • アプリケーション開発
  • クラウド・ストレージ
  • コスト削減、生産性向上をもたらす効率化、利益率向上
  • 特定産業向けの特殊化
  • 環境・生活への潜在的利益

参入者例

  • Amazon Web Services
  • ARM Holdings
  • Atmel
  • AT&T
  • Axeda
  • Bosch
  • Cisco
  • Ericsson
  • Freescale
  • GE
  • Google
  • IBM
  • Intel
  • Microsoft
  • Oracle
  • Salesforce.com
  • SAP
  • Qualcomm

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株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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