プラチナ社会研究会 新産業は、人が輝く暮らしから

‘Solar Roadways’

 

‘Solar Roadways’

協力 Rapid Access International, Inc. 2016年7月

世界が多方面で変容する中、日々の些細な活動をこなすにも多様なエネルギーへの依存を続けている。近代世界の大半では、天然ガス、石油、石炭等の非再生可能エネルギーを毎日消費しているが、その供給には限りがある。世界のエネルギー危機の解決に役立つことを期待して、ある製品が開発された。自家発電ができるだけでなく、自動車、家庭、その周辺の建造物にもエネルギーを供給できる、という製品だ。

「Solar Roadways」とは

「Solar Roadways」とは、スコット・ブルーソー(Scott Brusawi)、ジュリー・ブルーソー(Julie Brusawi)夫妻がアイダホ州で創業した企業であり、本拠地も同州に所在する。同社は、未利用太陽光エネルギーを活用するべく、標準的なコンクリート製、アスファルト製の道路の代替となる太陽光パネルを製造している。スコット氏は電気工学が専門であり、ジュリー氏は環境に熱心であることが相まって、世界に革命を起こすであろうと夫妻が考えるような製品の創出に至った。

太陽光発電道路パネルのメリット

「Solar Roadways」が製造するのは、クリーンな再生可能エネルギー発電ができる製品だ。路面に敷設した太陽光発電パネルから蓄電し、周辺のインフラにエネルギーを供給する。

道路網は全米広域に整備されており、電力網はあらゆる再生可能エネルギー源にも対応していることから、どのような再生可能エネルギーであっても送電が容易にできる。また、この製品は分散型電源を導入しているため、設置場所の周辺にエネルギーを容易かつ継続的に供給できる。それにより電力が常に利用できて安定感も高い。つまり、万一一部が故障した場合でも、道路の別の部分では機能しエネルギー供給を続けられる。停電は完全になくならなくとも最低限に抑えられる。全米の道路をこのパネルに置き換えたと仮定すると、国内のエネルギー消費量の3倍以上を創り出すことができると推計されている。これにより、エネルギーが豊富に供給され、売電による経済的メリットも期待できる。

「Solar Roadways」は、電力網のスマート化だけでなく、道路系統の近代化ももたらしてくれる。自動車、コンピュータ、カメラ、その他のモノは常に技術が進歩してきているが、道路については比較的変化が少ないままである。道路は継続的に修繕を必要とし、そのためには税金の投入が必要だ。「Solar Roadways」を導入すれば、修繕は最低限で済み、さらには税金の投入が不要となる可能性もある。太陽光パネルによる発電の売電収入で十分まかなっていけるためだ。「Solar Roadways」の太陽光パネルが破損した場合、傷んだパネルのみを取り換えるだけで修繕ができる。道路全体を舗装しなおす場合と比べて時間も費用も抑えられる。

「Solar Roadways」の特徴

個別の太陽光パネルの形状は六角形をしている。それぞれが独立して稼働し、別のパネルには影響は出ない。パネルにはリサイクル素材を利用しているが、耐重量が最大25万ポンド(約113.4トン)の強化ガラスに加工されており、路面とタイヤとの静止摩擦が適切であることは試験済みである。安全機構の一つとして、加熱システムを採用しているが、これは寒冷期には危険な運転環境を生み出しかねない路上の積雪等を溶かしてくれるものだ。また、便利な機能として、パネルにLED電灯が埋め込まれており、路上を照らすことで夜間の運転環境の向上につながるほか、前方に危険となりうる状況が見込まれる場合には警告を表示することもできる。さらに、パネルのセンサーが野生動物、交通量、その他運転の障害となり得る障害物等を感知することができる。

「Solar Roadways」による解決策

「Solar Roadways」の補完設備として、道路の脇に側溝を設置し、一本には水を流しもう一本にはケーブル類を通すこともできる。電線やガス導管を地下に敷設して荒天から守ることで、住まいが安全になり、電力やガスが容易に利用できるようになる上、架線が視界から遮断されるため地域社会の景観も向上する。「Solar Roadways」パネルの外観上の特徴からは、今日の世界が徐々に向かいつつある未来が感じられる。

「Solar Roadways」は、電気自動車の利用も強力に促進してくれる。具体的には、変換されたエネルギーを使って電気自動車を常に充電でき、しかも温室効果ガスを発生させる化石燃料の燃焼は伴わない。発電に伴う化石燃料の燃焼は、温室効果ガス発生量の約半分を占めると推計されている。

研究開発

具体的なエネルギー産出量は、太陽と太陽光パネルの設置場所の関係に依存する。パネルはほぼどこにでも設置が可能だ。例えば道路、歩道、駐車場、空港などが挙げられる。これまで「Solar Roadways」は米国運輸省からの契約を2件受注しており、2016年末頃にはアイダホ州の公道で初めて利用され、その後順次ミズーリ州にも設置予定となっている。太陽光発電道路・歩道という考え方への関心が高まると、さらに別の場所にも拡大されることとなる。

「Solar Roadways」は現時点ではまだ研究開発の段階にあり、製品自体からの利益は生み出してはいない。研究者は、製品の低廉化や改良を目指して試行を続けている。さらなる研究に向けての寄付を「Indiegogo.com」を媒介して受け付けているが、この基金には既に135か国から寄付金が寄せられている。このことは、当該製品への世界の関心の広さを示している。

終わりに

「Solar Roadways」の普及が広がれば、確実に環境に好影響を及ぼす。さらに外国産石油への需要削減にもつながりうる。この技術が、現代の再生可能エネルギー革命に希望をもたらす、すばらしく期待に胸が高鳴るような新しい解決策であることに間違いない。

References

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

アンケート

このページのトップへ

三菱総合研究所関連リンク: MRI大学関連事業

Text Resize

-A A +A

小宮山宏 講演録