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世界初の家庭用ソーシャルロボット「Jibo」

 

世界初の家庭用ソーシャルロボット「Jibo」

協力 Rapid Access International, Inc. 2016年6月

日常生活でロボット技術に触れることも増えてきているが、日頃の活動の補助においてもこの技術への依存が高まりつつある。マサチューセッツ工科大学でソーシャルロボティクスを専門とするシンシア・ブリジール(Cynthia Breazeal)氏はこれまで、人間のすぐそばで自然に生活できる、完全なソーシャルロボットの創出を目指す研究に専念してきた。同氏の目標は、様々な感情の表現や理解ができるうえ、家族全員が魅力に感じるような好感のある性格のロボットを作ることである。同氏は仲間の協力も得て世界初の家庭用ソーシャルロボット「Jibo」の開発に至った。

Jiboは、大きさが28センチ、重さ3キロのロボットで、体は円筒形、頭は大きな球状をしている。頭部の前面には黒く平らなHD液晶タッチスクリーンが搭載されており、顔の役割を果たす。ここには活動や感情に関するアニメーション画像が表示される。ロボット自体は動き回らず、充電場所での据え置き型である。電源は一般のコンセントを利用でき、30分間はコードレスで使用できる。ロボットが自力で動き回る機能はないが、本体は軽量であるため、必要に応じて簡単に別の部屋へと持ち運びができる。

Jiboのデザインは、人間のような外観にするのではなく、明らかにロボットとわかるように設計された。シンシア・ブリジール氏は、この技術が人間の代替を目的としているのではないということを示したかった。また、人間同士の関係に対抗するものにはしたくなかったのだ。Jiboは単に人間を支え、日常生活のニーズに役立つものとして作られたのである。しかし、デザインは人間に似せていなくとも、別の形で人間の性質を表すことができるようになっている。

JiboのプログラムはJava Scriptを使用してプログラムされ、クラウドベースのシステムでアップデートされるため、常に最新の機能・性能に保つのは比較的容易にできる。Jiboは、インターネットを経由しWi-Fiで動作するほか、Bluetoothハードウェアも搭載している。Linuxを使用しているため第三者が簡単に新しくプログラムを創り出すことができ、それをJiboストアで提供できるようになっている。そのためJiboが更新されれば誰でも利用できる仕組みとなっている。広告用のコマーシャル・ビデオのナレーションを担当したランス・ウラノフ(Lance Ulanoff)氏は次のように語っている。

「シンシア・ブリジール氏の動画の世界観では、家に帰るとロボットが挨拶してくれて、メールを読み、晩御飯を食べたいか、ピザを注文しようかと尋ねたり、さらには部屋に入ると電気をつけてくれたり、といったことをしてくれる。」

http://mashable.com/2014/07/16/jibo-worlds-first-family-robot/#sEnI9Za8dkqu

現時点ではJiboには開発者向けと家庭向けの2種類のモデルがある。開発者向けは、ソフトウェア開発キット一式が付属しており、シンシア・ブリジール氏や開発チームへのアクセス、ツール、サポートが受けられる。家庭向けはそれらを除いたものとなっている。どちらのモデルも色は白か黒を選択でき、価格は749米ドル程度で販売される。現モデルはアメリカ英語を話す。ほかの言語版はまだないが、アップデートの計画があり、その際に様々な言語を話したり理解したりできるようになることが想定される。

このロボットには便利なスキルが多数あり、人間と効果的にコミュニケーションをとったりつながったりできる。高解像度カラーのステレオカメラを使って写真を撮影し、顔を追跡したり、覚えたりすることができ、さらに、ほかのJiboロボット経由でテレビ電話通信もできる。笑顔認識や音声認識等の自然な合図を利用して写真撮影のタイミングを検知する。360度の音源定位マイクを搭載しているため、部屋のどこで話をしてもJiboはそれをはっきりと聞き取ることができる。Jibo本体は動き回ることはできないが、頭部は軸に付いており、複数人で会話をしているときには興味を示したり関わり合ったりしているかのように首の向きを変えたり人を見たりと、生きているかのような動きをすることができる。

今後、Android、iOSでJiboを事実上どこにでも連れて行けるようなアプリケーションが公開されることになる模様だ。それにより、音声通信やメッセージの送受信をしたり、自宅の状況を確認できるようにJiboが見ているものを見たりすることができる。

Jiboの大きな特徴は、家族それぞれに何かをしてあげられることである。音声、効果音、動き、画像を使って物語を語れば、子供には楽しい体験となる。大切な予定を音声で知らせてくれるのだが、その際顔認識をして各個人に適したメッセージを伝えてくれる。お年寄りには、物忘れしやすくなっていても優しくリマインダをしてくれるだけでなく、ほかのJiboロボットを経由して、自分のJiboとでビデオ・チャットや日常会話を簡単に楽しむことができる。

Jiboが様々な人と関わり合っていくにつれ、当初プログラムされた時よりも、さらに現実的なコミュニケーションや生きているかのような動きをどうすればできるようになるのかを学習していくようになる。人間は成長するにつれて学習し、周りの生活に合わせようとするが、それと同様にJiboは周囲と関わり合うことで学習するようにプログラムされている。Jiboロボットが作られた目的は、人間のようになったり人間と張り合ったりするためではなく、人間の日常生活で仲間になったり手伝いをしたりするためなのだ。

References

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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