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テクノロジーを活用して全ての学生に均等な機会を

 

テクノロジーを活用して全ての学生に均等な機会を

協力 Rapid Access International, Inc. 2016年9月

米国中の教育者は、世界の例に漏れず、教育社会の現状において多様な課題に直面している。貧困層から富裕層、地方から都市部に至るまで、大勢に質の高い教育を提供しようとすると数多くの困難が発生する。教育者はそれに対し自身で対処法を見出さなくてはならない。米国教育省が後援する「Alliance for Excellent Education」(優れた教育のための連盟)は、生徒の居住地や経済状況に関わらずに教育ができる、共通のツールを教育者に提供するというイニシアティブを開始した。Alliance for Excellence Educationは、従来の教育方法にテクノロジーを統合させる「Future Ready Schools」(未来対応型学校)という取り組みを開始した。

「ConnectED」と、「Future Ready」の起源

2013年6月、オバマ大統領が「ConnectED」というイニシアティブを発表した。当イニシアティブでは、教師には教育時のテクノロジー活用方法について訓練を施し、生徒には高速ブロードバンドの利用提供を行うことで、全米の学校に豊富なデジタル・コンテンツを普及させるよう期待している。現在、米国内の学校で生徒に高速ブロードバンドを提供できているのは40%に満たない。Apple、Microsoft、Sprint、Verizonといった企業は、地方において高速ブロードバンド・インターネット・アクセスの提供支援を行うことを約束している。このような地方では、ブロードバンド・インフラへの投資誘致が困難であることが一般的だ。

首都ワシントンに本部を構える「Alliance for Excellent Education」は、恵まれない環境下にある生徒の高校卒業や就職の支援に尽力している。2015年には「Future Ready Schools」プロジェクトを発足させた。このプロジェクトは、ConnectEDの成功を礎に、全米のほぼすべての学校に高速ブロードバンドへのアクセスを普及させたいと期待している。その目的としては次が挙げられている。

  1)指導教授法・慣行の変革
   2)技術の活用による教室内での学習の個別化1

Future Ready Schoolsイニシアティブを開始させるためには全米の教育関係機関の長に目を向ける必要があった。

活動への「誓い」

当該イニシアティブの第一歩は、米国全土の各学区の教育長が、学区内のデジタル学習の文化醸成に努めるともに、その周辺の学区にも同様のデジタル教育方法の導入促進を図るようにすることである。この活動は「Future Ready Pledge」(未来対応への誓い)と称し、参加する教育長は2016年3月以降で2,100名を超えている。デジタル・コンテンツを学校のカリキュラムに強力かつ体系的に組み込むことで、技術的訓練を受けた教員が、より効率的に生徒の個別教育をできる、という考え方である。この体系的方法が「Future Ready Framework」(未来対応枠組み)の基盤になっている。

「Future Ready Framework」

「Future Ready Framework」では、デジタル・コンテンツのカリキュラムへの組み込みを成功させるための主要7項目を設定した。その項目は次の7つであり、「ギア」とも呼ばれている。

  1)カリキュラム、指導、評価
   2)時間・空間の利用
   3)堅牢なインフラ
   4)データとプライバシー
   5)コミュニティ・パートナーシップ
   6)個別化された専門的学習
   7)予算・資源

これら項目は、「生徒の個別化学習」によるカリキュラム改訂にどのように取り組むべきかの指針となる。高度な訓練を受けた専門家としての教員がダイナミックな技術を活用すれば、生徒の個別化学習が可能になる。2

ロードマップと「Future Ready Dashboard」

学区が当該プログラムへの参加を表明し、プログラムの枠組みを策定すると、5段階の戦略的実施プロセスを開始することとなる。その5段階の構築手順は以下のとおりであり、学区のリーダーであれば誰でも無償で利用できる「Future Ready Planning Dashboard」に掲載されている。

  1)Future Ready Leadership Planningチームの結成
   2)Future Ready District Leadership自己評価
   3)利害関係者からの意見収集、相違事項・戦略分析
   4)各自のFuture Readyアクション・プランの策定
   5)発信、共有、連携、反復

実施するまでの道のりには、準備、生徒の分析、教員開発、文化変容、リーダー交代、が必要となる。「Future Ready Planning Dashboard」には、システム統合計画の概要に加え、教員にとって生徒の学習や関与を向上させるためのアイデアの参考情報が示されている。6~8週間かかる統合プロセスにおいて、教員はこのダッシュボードを利用して、「Future Ready School」として達成したい教育能力を最大限に発揮させるために各学校体系独自の戦略を策定する。

目標

「Future Ready」イニシアティブでは、教育の国家標準を弾みよく始動させたいと考えている。その目的は、あらゆる生徒が、居住地や経済状況に左右されず、技術を活用することで平等に学習機会を与えられることである。この考え方が普及し続ければ、国内における卒業率が上昇する見込みが高くなり、生徒は就職や将来のキャリアでの成功に向けてより適切に備えることができるようになる。現在、高速ブロードバンドにアクセスできているのは学校のうち4割である。Future Ready Dashboardにより米国内のほぼ全校がつながることができれば、教員も生徒も共通の豊富なデジタル・コンテンツを使って利益を享受できるようになるだろう。

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株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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