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スマートオフィス革命

 

「スマートオフィス革命」

協力 Rapid Access International, Inc. 2017年9月

「モノのインターネット」(Internet of Things: IoT) は2017年の話題の的だ。「スマート」機器が互いにコミュニケーションをとって仕事を完成させる、というのはほんの数年前まではSF小説の世界だった。今日、米国人は1日の労働時間の約8時間を事務所で過ごしているため、IoTが職場で大きな影響をもたらすであろうというのは理に適っている。ニューヨークを本拠とする企業「Autonomous」は、事務所で仕事をする人が一日の大半の時間を過ごす場所に技術を組み込むニーズがあると捉えた。つまり、机だ。

Autonomous社

Autonomous社は、「スマートな働き方」の普及を目標に、2015年に設立された。同社は、「Kickstarter」というクラウドファンディングサービスを利用して、「SmartDesk」という旗艦製品に向けた初期資本を調達した。その製品とは、モーターが搭載された、調整可能な立ち机(スタンディングデスク)である。本拠地をニューヨークとし、カリフォルニア、カナダ、オランダ、中国、ベトナムにも拠点を置くAutonomous社は、現在職場での生産性向上を狙った「スマート」オフィス製品の数々を製造している。製品開発から2年経ち、これまでSmartDesk を2バージョン販売してきたが、このたび初の人工知能(AI)搭載型デスク、SmartDesk 3 の立ち上げに至った。

SmartDesk 3

SmartDesk 3 は、単に高さ調整ができるだけのスタンディングデスクではない。バーチャル・オフィス・アシスタントなのだ。Autonomous社は、独自のオペレーティングシステム(OS)を開発した。利用者はこれを使ってIoTネットワークに接続でき、机上に置かれた7インチのタッチスクリーンでコントロールする。このタッチスクリーンからGoogleを活用した一連のツールを使うことができ、それにより日常の雑務から開放されて自分の仕事に注中できるようになる。SmartDeskは、会議スケジュールの通知、電話・電子メール受信、天気予報、その他様々な事務機能を果たしてくれる。SmartDeskは利用者の日常的習慣を追跡・学習する。例えば、立ち上がる時間、水を飲む時間はいつが好みか、気に入っている音楽プレイリストなどだ。それに従って個人に合わせて調整してくれるのだ。

このデスクには、リニアアクチュエータ2本とモーター2機が搭載されており、これにより机の天板の高さを50インチ(約1.27メートル)まで上げてスタンディングデスクへと変えられる。現在の保健分野の研究では労働者の着席時間は長すぎると言われており、ボタン一つで通常の着席型机からスタンディングデスクへと変えられれば、職場の健康向上に繋がる。Autonomous社は、SmartDesk 3 と同時に使える、立ち上がって働いていないときには姿勢よく座れる人間工学(エルゴノミクス)を取り入れた椅子やスツールも開発した。

今後の展望

Autonomous社は、経常的にデータ収集をするオフィス製品のネットワークを構築している。データはビジネスの駆動力となっており、従業員がオフィスに接続された状態となれば具体的な労働環境でのベストプラクティスがどのようなものかを分析できる。データ分析をすれば、従業員の大半が立ち仕事をするほうが企業の利益となるのか、あるいは始業時刻を遅らせると従業員の生産性向上に至るのか、といったことが示されるかもしれない。「スマートオフィス」で従業員から統計データを収集すれば、いかにして従業員のアウトプットを向上させ、企業の要望を満たすか、見識が深まることとなる。

終わりに

Autonomous社は、未来のオフィス創出に自信を抱いている。従業員は、SmartDeskが易々と対処できるような雑務から開放され、生産性が向上する。労働生産性の向上、ならびに生産性向上の要因を裏付けるデータは、競争の激しい事業環境にある経営者にとっては非常に重要だ。Autonomousの一連の「スマートオフィス」製品は、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコのショールームで実物を見ることができる。SmartDesk 3 の価格は600ドルで、オンラインで購入できる。Autonomous社は人工知能とオフィス什器とを結合させることで、未来の職場を現時点で体現していると考えている。

出所:

株式会社三菱総合研究所理事長 小宮山宏

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