このたびプラチナ社会研究会では、分科会として開催したヘルスケアイノベーション協議会内に「バーチャル治験意見交換会」を設置し、バーチャル治験普及に向けて国内製薬メーカー、医療機器メーカー、再生医療等製品開発企業、CRO(開発業務受託)企業、ICT企業等との意見交換を行い、提言書を取りまとめました。
バーチャル治験普及に向けた提言書
「患者中心の治験」の実現 -日常生活からの医薬品・医療機器・再生医療等製品開発-
新型コロナウイルス感染症のパンデミックを契機として、オンライン診療・オンライン服薬指導をはじめ、医療現場の様々な場面でデジタル化が加速しています。一方、新しい医薬品や医療機器・再生医療等製品の開発で避けて通ることのできないプロセスとして、新製品を被験者に適用し有効性や安全性の評価を行う「治験」があります。これまでの製品開発は、医療従事者と被験者が直接対面で行う治験が「常態」でしたが、デジタル技術の利用により両者が対面することなく、被験者の自宅等遠隔地でも治験が行われる「新常態」の治験、すなわち「バーチャル治験」が実用可能となっており、その普及に向けた制度やルール、基盤整備等に向けた検討が必要な時期に来ています。
従来、治験参加においては通院が必須で、距離や時間等の問題で通院が難しいために治験に参加できないケースがありました。バーチャル治験により被験者宅や近隣医療機関から治験に参加することが可能となり、被験者の医療機関への通院負担の軽減など治験へのアクセス向上が期待されます。さらに、日常生活における臨床情報の活用など患者中心の製品開発の実現や、迅速な製品開発の実現、デジタルヘルス産業の活性化など多くの効果をもたらす可能性があります。
しかしながら、バーチャル治験実施の利活用に向けたルールや法規制等は十分に整備されておらず、バーチャル治験の普及は海外と比して遅れつつあります。
本提言をベースに、患者QOLの向上や迅速な医薬品・医療機器・再生医療等製品開発等に貢献するバーチャル治験普及に向けて、当社は、業界団体、医療機関、国等を巻き込んだ議論の推進や、周辺産業の事業機会創出に向けた支援を行い、また日常生活のデータを利活用した治験DXを実現することで、いち早く国民により良い製品が提供できるよう支援してまいります 。
バーチャル治験意見交換会に参加したメンバー等は次の通りです(50音順)
・旭化成メディカル株式会社
・株式会社アルム
・京セラ株式会社
・サスメド株式会社
・サンバイオ株式会社
・シミック株式会社
・3Hメディソリューション株式会社
・武田薬品工業株式会社
・バイオトロニックジャパン株式会社
・メドトロニックソファモアダネック株式会社
(事務局) 株式会社三菱総合研究所
来るべき「健康情報化社会」を見据え、健康・医療・介護を含むヘルスケアデータの流通・活用を促進し、社会的潮流を創造する目的で2019年7月10日に設立しました。
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